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SF・ファンタジー作家
龍村暁
Akira・TatsumuRA
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第一章 やくも
和子は岡山駅で伯備線特急やくもに飛び乗った。目的地の備中高梁までわずかな行程である。車中で自由席を探したが、どこにもない。知らない間に全席指定に変わっていた。 4両しかない車両の2両目に空席を見つけると(空席だらけではあるが)、真ん中に近い窓際に決めた。上着を脱いで座った途端、どこかで見ていたかのように車掌がやってきた。 「お客さま、切符をお持ちでないですね。申し訳ありませんが、購入いただけますでしょうか」 嫌です、と言えるはずがない。財布からクレジットカードを取り出し差し出した。車掌は慣れた手つきで決済し、ハンディ券売機からにょろにょっと出てきた切符をやぶり和子に手渡した。 「到着駅では、窓口のある改札をお通りください。自動改札機には入りませんので」 当たり前でしょ、そんなことするバカなんていないわよ。そう思いながら「はい、わかりました」と答えてペラペラの指定席券を財布に納めた。 車窓から見える風景は30年前と何も変わらない。山があり川があり舗装道路があり、田畑もある。ときどき現れる民家も昔と変わらないように見えるが、傷んだところを修理しながら
作家 龍村暁
2025年11月8日
読了時間: 2分
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